AKUMA NO SHIRUSHI


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OSUNU OTAMAI UKARUBEKASU

DATE: Aug. 2-4, 2013
SITE: LOXODONTA BLACK (Abeno, Osaka)

This tiny piece was created for TACT/FEST 2013 (OSAKA International Art Festival For Kids 2013 ).
It looks like a parody of TV program for kids, but based on Aesop's Fables "The Boy Who Cried Wolf " .

大阪市阿倍野区で開催される児童演劇フェスティバル「TACT/FEST」にて発表された掌編舞台作品。 イソップ童話「狼少年」をベースとしつつ、 児童向けテレビ番組のパロディ(コント)風に仕上げるなど、 児童から大人までそれぞれ違った観点から楽しめるよう工夫をこらしてみた。

上演時間15分。

LINK >> TACT/FEST 2013 拡張演劇プログラム
     TACT/FEST 2013 親子クリティック
     劇評記事 ワンダーランド




composed and directed by:
Noriyuki Kiguchi 危口統之

cast:
Reiko Takayama 高山玲子
Hikari Goto 後藤ひかり
Mizuki Hiramoto 平本瑞季
Ayumu Kamio 神尾歩

staff
sound:
Natsuko Yoshitake 吉武奈津子

lighting:
Chika Fuseya 伏屋知加
Naoyoshi Negoro 根来直義

stage manager:
Syo Sadahira 定平翔

program director:
Ryo Kabasawa 樺澤良
Yuichiro Morisawa 森澤友一朗

special thanks to:
ホナガヨウコ企画
ロロ
冨士山アネット
モモンガ・コンプレックス
範宙遊泳


OSUNU OTAMAI OKARUBEKASU from AKUMANOSHIRUSHI on Vimeo.



「たいへんだ!オオカミだ!」
おどろいてかけつけてきた村人を見て男の子は大笑い。

何日かして男の子はまた大声をあげました。
「たいへんだ!オオカミだ!」
こんども村人は飛び出してきました。男の子はまた大笑い。
それからというもの、味をしめた男の子は、ウソばかりつくようになりました。

「おーい!オオカミが来たぞー!」
「ひつじが食べられちゃうよー!」
「オオカミだ!オオカミだ!」

でも、しばらくすると、村人たちはすっかりウソに慣れて、だまされなくなってしまったのです。

「おーい!オオカミだぞー!」

どんなに男の子が叫んでも、誰も出てきません。
もちろん、本物のオオカミはいつまでたっても来てくれません。

男の子は悔しがりました。

「もう一度、みんなの慌てる顔が見たい。どうしても見たい」

次の日から、男の子はまったくウソをつかなくなり、
それどころか、お家から一歩も出てこなくなってしまいました。

……

そうして、またしばらくしたある日、
あの大きな声が村じゅうに響き渡りました。

「たいへんだー! オオカミだー!
ほんとうにオオカミが来たぞー!」

久しぶりの声にびっくりした村人たちがあわてて飛び出すと、
なんということでしょう、本当にオオカミがやって来ているではありませんか。

「このやろう、くたばってしまえ!」

バーン!

村人の打った鉄砲は見事に命中、オオカミはバタンと倒れました。

そして、倒れたオオカミに近づいた村人たちはビックリぎょうてん、 そこには、オオカミの縫いぐるみをきたあの男の子が倒れていたのです。

苦しそうな、けど、嬉しそうな笑顔で男の子は言いました。

「…オオカミが…来たぞー…」

それが、男の子の最後の言葉でした。

おしまい