Exhibition
劇的なるものをネグって / off the dramatic passions
本展は、作家による公開制作を行う前半部(7月中旬までを予定)と、
パフォーマンスを行う後半部(7月26日から31日まで)に分かれています。
公開制作の進捗は、Twitter(ハッシュタグ #劇ネグ)等でご確認いただけます。
Exhibition:
2016.7.8 FRI - 7.31 SUN
11:00-20:00 (closed: Monday)
Kanzan Gallery
KT bld. 1-3-4 Higashi-Kanda, Chiyoda ward, Tokyo
Kanzan Gallery
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Performance:
※ 一回の公演のキャパシティはだいたい30席くらいです
※ 百瀬文のパフォーマンス(7/30~31 昼頃)は予約不要です
※ 下記画像をクリック→予約フォームに移動します
危口統之+八木光太郎 / 捩子ぴじん+生実慧(2本立て)
7.26(TUE) 18:30開演
7.27(WED) 18:30開演
7.28(THU) 18:30開演
7.29(FRI) 18:30開演
7.30(SAT) 17:00開演 / 終演後 トークイベント
7.31(SUN) 17:00開演 / 終演後 クロージングパーティー
チケット:前売/当日 ¥2000/¥2500
予約 >> (7月10日よりこちらで受付開始)
当日券情報 >> 毎回5〜10枚程度販売(Facebookイベントページにて案内中 https://www.facebook.com/events/286032015084108/
展示概要
2016年7月8日。その日が初日の「危口統之(悪魔のしるし) 劇的なるものをネグって」の会場には、おそらく作品と呼べるものは皆無だろう。あるいは壁面には、なんらかの支持体に相当する大きなベニヤ板が打ち付けられているかもしれない。あるいは、ギャラリーの中央には今後の展覧会の行く先を示す、とある構造物が置かれているかもしれない。いずれにせよ本展は、ほぼ空白の状態からスタートする。開催に先立ち、本展の企画者である私は、ステートメントにこのように書いた。
危口は演劇的現象が生起する「場」に関心を寄せる。舞台があって客席があれば(それがどんなに簡素なものであったとしても)、その関係性から「演劇」は立ち上がりうる。本展では、そのメカニズムを巡る考察を展開する予定だ。
今あなたの目の前にあるかもしれない空白は、その演劇的現象を生起するための土地である。これから危口統之は、会期中の多くの時間を割いて、ここに「演劇」なるもの、「劇的」なるものを召還しようと試みる。そこで呼び出されるのは、現代日本の景観に公共性の幻影を見ようとした建築家たちによる「残念(な)舞台」であったり、はるか古代、儀礼のための空間であったものが劇場(シアター)へと変容していく歴史の概括であったりする。それらが姿をあらわすのと相同し、それらが意味するもの、そして危口が彼の「演劇」において取り扱おうとしている問題系が明らかになるかもしれない。
(美術ライター・編集者 島貫泰介)
2007年の秋頃、つるんでいた友人たちと共に演劇の真似事を始めたときから今の今まで扱う主題は「出来てなさ」であり続けた。それは専門的な訓練を経ぬまま活動を始めた自分自身への言い訳でもあったし、舞台に立ったことのない友人を引っ張り込み何とかして演劇らしきことをさせようとするときの価値基準でもあった。そうこうしているうちに、そもそも出来ているとは何だ、どういうことだと考え始めることになる。いっけんダメなことのように思えるが実はそれこそが演劇の本質ではないかと疑いを持ちはじめる。写実にこだわるほど舞台上での振る舞いは滑稽に見えてくる。むしろまがい物であることを強調するほうが格好いいんじゃないかと思えてくる。埋葬された真らしさの上に建てられた立派な墓碑。その美しさ、そのつつがなさを生みだす高度な技能をついに持てずじまいだった我々は倒錯だと重々承知の上でリアリティという棺の中で腐っていく。西洋から伝わった演劇なるものをこの国がどう演じたかについては様々な論者が語っている。その失敗、片時の成功、そしてさらなる失敗、そうこうしているうちに到来する多様性賛美の時代。みんな違ってみんないい。それら多様な差異の住まう館は完全にバリアフリー化されている。弱者に厳しい段差などあってはならない。こうしてまたひとつ劇的なるものはネグられ、世界は完成に近づく。
(演出家・悪魔のしるし主宰 危口統之)
プロフィール
危口統之
悪魔のしるし主宰・演出家。1975年岡山県倉敷市生まれ。
2008年、演劇などを企画上演する集まり「悪魔のしるし」を組織。
代表作に《搬入プロジェクト》《わが父、ジャコメッティ》など。
2014年度よりセゾン文化財団シニアフェロー。
www.akumanoshirushi.com
捩子ぴじん
ダンサー。2000年から04年まで大駱駝艦に所属し、麿赤兒に師事する。
舞踏で培われた身体性を元に、自身の体に微視的なアプローチをしたソロダンスや、体を物質的に扱った振付作品を発表する。
2011年、横浜ダンスコレクションEX審査員賞、フェスティバル/トーキョー F/Tアワード受賞。
http://pijinneji.blogspot.jp/
百瀬文
映像と身体の関係性を中心に扱う美術作家。主な個展に「サンプルボイス」(横浜美術館 アートギャラリー1, 神奈川, 2014)、主なグループ展に「六本木クロッシング2016展:僕の身体、あなたの声」(森美術館, 東京, 2016)、「アーティスト・ファイル2015 隣の部屋――日本と韓国の作家たち」(国立新美術館, 東京)など。
http://ayamomose.com/
島貫泰介
美術ライター/編集者。本展キュレーションを担当。1980年神奈川県生まれ。『美術手帖』『CINRA.net』などで執筆多数。書籍や雑誌特集の企画・編集も行う。
シリーズ「語りの技法」
Kanzan Gallery
にて2016年4月からスタートした展覧会シリーズ。
全4回を予定。文学や演劇に限らず古代からあらゆる芸術ジャンルに根付く「叙述」や「文法」を考える展覧会。
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